ホクリクサンショウウオ


 
ホクリクサンショウウオHynobius takedai

石川県、富山県に棲息する小型サンショウウオ。
全長は10cm前後で低地、山地の林床に棲息し
2−4月頃湧水のある環境で産卵する。


基準産地は石川県羽咋市で発見当初はアベサンショウウオと考えられたがのちホクリクサンショウウオと改められた。

精査したわけでは無いが低地ではかなり減少していると思われる。
基準産地の羽咋市では現在わずかな産卵数しか確認できないようだ。
対策として増殖池や「ねいの里」などで人工的に産卵場所を作っている。

羽咋市指定天然記念物。石川県、富山県で県指定保護種になっている。

ホクリクサンショウウオの卵嚢

湧水域の石の隙間や堆積物などに多少隠蔽するように産卵する。

左画像の卵数は小さい方が38卵。(片側カウント)
          大きい方が55卵。(片側カウント)
卵嚢の表面

アベやトウホクサンショウウオと考えられた本種だが
卵嚢外皮に前述2種のような縦の条線は無い。

繁殖場の1例(低地の例)

湧水が必須条件となり、左画像繁殖場でも斜面から僅かな
湧水が流れ込んでいる。

3月上旬の観察だがこの繁殖場では卵嚢4対、成体♂3匹しか確認する事が出来なかった。低地の人家近くでもあり、かなり細々と棲息しているものと思われる。このような環境は「しょぼい環境」と言われ、今後の棲息が危ぶまれる為絶対に採集してはいけない。

観察目的で探すだけでも環境に負担がかかる事もあり、頻繁な観察もちょっと敬遠したい環境ではある。湧水が枯れたらそれで終わりなんで。こういった環境は5年後10年後に再訪問するとだいたい消失している。
心配されるザリガニの姿は確認出来なかったがイモリは生息している。


飼育下繁殖

 2019年2月 緩い流れを作った水槽内で2対を産卵
野生での産卵場所を模したレイアウトで予想通りの場所に産んだ。
繁殖が容易でない種は野外での観察抜きでは困難だと思う。
 受精している割合は3割ほど。
卵から育てた若い個体を使った。

戻る国産種